
【中小企業診断士が解説】月額0円・情報流出ゼロ。「ローカルLLM」という新しい選択肢
「ChatGPTなどの生成AI、便利そうだけど社内の機密情報を入力するのは怖い」
「社員全員分の月額料金を払うのは、コスト的にちょっと…」
こういったお悩みをよく聞きます。
実は今、「インターネットに繋がない」「月額料金がかからない」 新しいAIの使い方が、技術に明るい企業の間で急速に広まっています。
それが「ローカルLLM」です。
今回は、難しい専門用語は極力抜きにして、中小企業の経営者目線で「ローカルLLM」のメリットと導入のポイントを解説します。

著者プロフィール
経営コンサルタントの国家資格:中小企業診断士かつ現役技術者の小林隼人です。生成AIを活用して創業や中小企業経営の支援をしております。
詳しいプロフィールはこちら
お問い合わせはこちらから!
そもそも「ローカルLLM」って何?
一言で言えば、「会社のパソコンの中に、AIの脳みそを丸ごとダウンロードして飼うこと」です。
ChatGPTなどの一般的なAIは「クラウド型」と呼ばれ、インターネットの向こう側にある巨大なコンピューターに質問を送って、答えを返してもらいます。つまり、データが一度社外に出ます。
一方、「ローカルLLM」は、お手元のパソコンの中でAIが動きます。
インターネット回線を切っても動きます。「完全なオフライン環境」にいる、超優秀な秘書だと思ってください。

中小企業にとっての「3つのメリット」
経営的な観点から見ると、大きなメリットが3つあります。
① セキュリティ(情報漏洩リスクがゼロ)
これが最大の理由です。ネットに繋がないので、入力したデータが外部のサーバーに送られることは絶対にありません。
「顧客名簿を使ったメール作成」「来期の未発表の事業計画」「社外秘の議事録要約」など、これまで怖くてAIに入力できなかった業務も、ローカルLLMなら安心して任せられます。
② 費用がかからない(ランニングコスト削減)
AIのモデル(脳みそ)自体は、多くが無料で公開されています。
一度環境を作ってしまえば、毎月のサブスクリプション費用は0円。どれだけ使い倒しても、かかるのは電気代だけです。社員数が増えてもコストが増えないのは、経営的に大きな魅力です。
③ カスタマイズできる(自社専用AIへ)
「うちの業界の専門用語」や「社内の過去の日報」などを読み込ませて、自社に特化したAIに育て上げることが比較的容易です。汎用的なAIではなく、「御社の業務を熟知した社員」を作ることができます。
最新のおすすめモデル(2025年版)
「どのAIを使えばいいの?」という疑問には、今ならこの2つをおすすめしています。
- gpt-oss (OpenAI)
- 特徴: あのChatGPTを作っているOpenAIがついに公開した、持ち帰り可能なモデルです。「やっぱりChatGPTと同じ使い勝手がいい」という場合に最適です。知名度・安心感ともに抜群です。
- Gemma (Google)
- 特徴: Googleが作ったモデルです。動作が比較的軽く、そこまで高価なパソコンでなくてもサクサク動きます。日本語の文章も自然で、事務作業のアシスタントに向いています。
具体的に何ができる?
「チャットができる」だけではありません。実務ではこう使います。
- 「社内規定」検索システム:膨大な就業規則やマニュアルを読み込ませ、「慶弔休暇の申請はどうやるんだっけ?」と聞けば、即座に回答してくれるシステムが作れます。ネットに出せない社内文書だからこそ、ローカルの出番です。
- 機密メールの下書き:取引先とのトラブル対応など、詳細な経緯(個人情報含む)を入力して、角が立たない謝罪文を作成させる。
- 議事録の要約:録音した会議データをテキスト化し、要約させる。外部にデータを出さないので、役員会議の内容でも安心です。
どうやって動かす?難しくない?
「黒い画面にプログラミングコードを打ち込むんでしょ?」と思われがちですが、今は違います。
「LM Studio」 というソフトがおすすめです。
使い方は、ソフトをインストールして、好きなAIモデルを選んで「ダウンロード」ボタンを押すだけ。あとはLINEのようなチャット画面で会話できます。エクセルをインストールして使うのと大差ない手軽さになっています。
下記の記事に実際の動作イメージがあるので、ご興味のある方はご覧ください。20万円程度のPCでの動作事例です。
(LMstudioは商用利用不可のライセンスですのであくまでお試し用にご利用ください。)
どれくらい費用がかかる?(必要なパソコンの性能)
ソフトは無料ですが、AIを動かす「パソコンの性能」には投資が必要です。試しに動かすだけなら汎用のPCでも問題ありませんが、業務に使用するならしっかしりしたものを用意したいところです。
ここだけはケチると「動作が遅すぎて使い物にならない」という失敗に繋がります。
重要なのは「GPUメモリ(VRAM)」というパーツです。これは「AIが作業するための机の広さ」だと思ってください。
- Windowsを使う場合
- 必須条件: NVIDIAというメーカーの「GeForce(ジーフォース)」というグラフィックボードが積まれていること。(お試しでならグラフィックボードは不要です。)
- メモリ: VRAM 12GB以上(RTX 4070以上など)推奨。
- 予算: 20万〜200万円程度。
- ゲーミングPCと呼ばれる高性能なものがこれに当たります。
- Macを使う場合 (おすすめ)
- 機種: M2, M3, M4チップを搭載したMac miniやMacBook Pro。
- メモリ: 最低16GB、できれば24GB以上推奨。
- 予算: 15万〜30万円程度。
- AppleのパソコンはAIと相性が良く、設定も簡単です。
注意するところ
夢のような技術ですが、リスクも伝えておく必要があります。
- 嘘をつくことがある(ハルシネーション): クラウド版と同様、もっともらしい嘘をつくことがあります。最終チェックは必ず人間が行ってください。
- 商用利用のルール: モデルによっては「社内利用はOKだけど、これを使って商売をするのはNG」という規約がある場合があります。導入前に一度確認が必要です。
- 性能はクラウド版に劣る: 回答の質などの性能はクラウド版よりも劣ります。
企業におすすめの導入ステップ
いきなり全社員に配る必要はありません。
まずは「ハイスペックなPCを1台」を経費で購入し、総務部や企画部で「外部に出せないデータの処理」を試してみてください。新たに用意できなくても社内でもっとも性能が良いPCで試しても問題ありません。
「お、これは使えるぞ」となってから、社内サーバーとして本格導入する。
それが、最もリスクが低く、効果を実感できるスモールスタートです。
「AIを使いたいが、情報セキュリティが心配」
そんなときこそ、ぜひ一度「ローカルLLM」の世界を覗いてみてください。ご相談があれば、いつでも承ります。






コメント