はじめに
ブログを書きたい。でも、何から手をつけていいか分からない。頭の中には漠然としたアイデアや気づきが浮かんでいるのに、それを構造的な文章にまとめるのは骨が折れる作業だ。かつては、私もこの壁にぶつかりながら、必死に言葉を紡いでいた。
しかし、時代は変わった。生成AIの登場が、ブログ執筆の風景を根底から塗り替えようとしている。この記事では、生成AIを単なる「文章作成ツール」としてではなく、「思考を拡張するパートナー」として活用し、自分だけのオリジナルな記事を効率的に生み出すための具体的な方法論を紹介したい。

著者プロフィール
経営コンサルタントの国家資格:中小企業診断士かつ現役技術者の小林隼人です。生成AIを活用して創業や中小企業経営の支援をしております。
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生成AIはこう使う!思考をカタチにするための具体的なステップ
AIを使えば、執筆は驚くほど楽になる。ポイントは、AIに丸投げするのではなく、自分の思考の「壁打ち相手」や「整理役」として付き合うことだ。
1. メモをAIに放り込み、構造化する
まずは、頭に浮かんだ自分固有の気づきやアイデアを、何も考えずに書き殴ってみよう。文章としてまとまっていなくても、箇条書きでも、支離滅裂でも構わない。大切なのは、とにかくアウトプットすることだ。
そのメモを、そっくりそのままAIに渡して「この記事の骨子を整理して」と頼んでみる。すると、AIはバラバラだった思考の断片を論理的に構造化し、見出しや箇条書きの形で整理してくれる。これをGoogleのNotebookLMのようなツールにソースとして読み込ませれば、自分だけの思考データベースが完成だ。昔、自力でウンウン唸りながら構成を考えていた頃を思えば、圧倒的に楽である。
事例を紹介しよう。例えばこんな感じのメモで良い。

正直、文章にもなっていない。思いつきの羅列だ。
こんなメモでもGeminiなりChatGPTに投げれば、こちらの意図を最大限汲んで推察しまとめてくれる。

「こちらの意図を汲む」を超えて、認識できていなかった自分自身の中の洞察を掘り起こすような示唆を与えてくれることすらある。
2. 個性豊かなAIたちと壁打ちし、思考の幅を広げる
Gemini、ChatGPT、Grok、Claude…。現在、私たちには個性豊かなAIモデルという選択肢がある。彼らはそれぞれ性格が異なり、同じプロンプト(指示)を投げかけても、全く違う角度からの応答を返してくる。これが面白い。
複数のAIに同じメモを渡し、出てきたアウトプットを比べてみる。すると、自分一人では思いもよらなかった視点やアイデアが加わり、思考に立体的な幅が生まれる。まさに「みんな違ってみんないい」。この多様性こそが、AIをパートナーにする醍醐味だ。
生成AIは各社から様々なモデルが提供されている。これらは”性能”も異なるが、”正確”も異なる。このポストのように全然違うのだ。
このように色々な性格のAI達と壁打ちした結果は自分でキュレーションして良いところを組み合わせても良いし、NotebookLMのソースにそれぞれ追加して整理、分析しても良い。

3. マインドマップで思考を「見える化」する
モヤモヤしていた思いが、構造化される瞬間は実に気持ちが良い。AIに「この内容をマインドマップで整理して」と頼むのも非常に有効な使い方だ。思考の関連性や階層が一目でわかるようになり、全体像を直感的に把握できる。
時には、自分の意図とは少し違うまとめ方をAIが提示してくることもあるだろう。しかし、それもまた良い。「なるほど、そこをそう繋げてきたか」という発見は、新たな学びとなり、思考をさらに柔軟にしてくれる。
NotebookLMなら自分が追加したソースをもとにマインドマップを簡単に作成してくれるので助かる。

4. 書き出しだけは、自分で書く
AIに下準備を任せたら、いよいよ執筆だ。ここで一つ、試してみてほしいことがある。それは「記事の書き出しだけは自分で書く」ことだ。
完璧でなくてもいい。簡単でいい。自分自身の言葉で書き始めることで、不思議と文章全体からAI特有の匂いが抜け、ぐっと人間味が増す。それに、少しは自分の手で書く楽しみも味わいたくないだろうか?書き出しさえできれば、あとはAIに「この書き出しに続けて、こんな文体でよろしく!」とバトンを渡せばいい。
パンチに「体重」を乗せる。AI時代だからこそ重要なこと
AIとの共同作業で記事の骨格は出来上がった。しかし、このまま公開ボタンを押してはいけない。最後に、最も重要な工程が残っている。それは、記事に「魂」を吹き込むことだ。
ここを怠ると、どんなに構成が優れていても、どこか他人事でスカスカ、フニャフニャした中身のない記事になってしまう。AIが作った骨格に、自分の血肉を通わせるのだ。
自分の思いと実体験を注ぎ込む
最終的な文章を推敲しながら、自問してほしい。
- この記事は、本当に自分の思いに沿っているか?
- 自分の実体験を、具体的なエピソードとして例示できるか?
そもそも、この記事はあなた固有の気づきからスタートしているはずだ。ならば、その根拠となる具体的なエピソードや体験談を語れないはずがない。失敗談、成功体験、心が動いた瞬間…。そうした生々しい体験こそが、文章に説得力と熱量、つまり「体重」を乗せるのだ。
AIの書く文章は整っていて美しい。もっともらしいことが書いてあるし、ハッとする発見もある。しかし、その主張が本当に全体の文章の構成の中で生きているか、その主張は自分も心から同意できるか、自分の名前で発表するに足りる文章か、は意識してチェックしておきたい。
「自分固有」を恐れない
本稿で紹介した記事執筆法では「自分固有の気づき」を出発点としている。
この時「自分固有の気づき」といっても、何も人類史上誰も思いつかなかったような、全く新しい発見である必要はない。過去に誰かがすでに指摘していたり、本で読んだりしたことでも構わない。
大切なのは、それが「あなた自身の体験や価値観を通して生まれた着想である」という事実だ。あなたが実際に経験し、考え、感じたことならば、それは紛れもなくあなただけのオリジナルなコンテンツになる。
もちろん、参考にさせてもらった先人がいることを知っているなら、参考資料として示し、敬意を払うことを忘れてはならない。その誠実な姿勢が、かえって記事の信頼性を高めるだろう。
生成AIは、私たちの執筆プロセスを劇的に変えた。しかし、最終的に読者の心を動かすのは、書き手の「体重」が乗った言葉だ。AIを最強の思考パートナーとして使いこなし、あなただけの物語を紡いでいってほしい。


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