「プロダクトマネジメントを学ぶ夏」に参加した感想

「PMを学ぶ夏」参加しました!

2020年の8月9日、ProductZineにより開催されたオンラインイベント「プロダクトマネジメントを学ぶ夏」を聴講しました。豪華講演者による2時間の講演は非常に聞き応えのある内容でした!

自分自身の備忘録もかねて感想を書きます。以下、各話題は講演の順番通りではなく私の思いつくままの順に並んでいますので悪しからず。また、私の理解力不足で認識違いの点があるかもしれませんがご容赦ください。何かあればコメント欄などで教えていただけるとこちらとしても勉強になります。

(なおプロダクトマネジャー、プロダクトマネージメントの略称としてはPMと略すか、PdMと略すかはっきり決まっていません。私は当ブログの他記事においてプロダクトマネジャーをPdMと表記してきましたが、本webinarではPMと表記していますので本記事内でもそれに倣いプロダクトマネジメント、プロダクトマネジャーをPMと表記します。)

プロダクトマネジャーに必要なスキル

今回のwebinarのテーマの一つが、プロダクトマネジャーに必要なスキルとは何か?というものでした。まず最初に紹介されていたのは下の図のスキルツリーです。

このツリーの初出はcodezineさんの記事「プロダクトマネージャーに必要な能力とは何か? スキルセットの全体像を解説」であり詳細な内容はリンク先で紹介されていますが、簡単に4つのスキルを私なりに説明すると以下のようになります。

  • プロダクト志向のチームを作る「Team & Collaboration」
  • ビジネスとして成功させる商才「Business acumen」
  • ユーザーと市場を洞察し気づきを得る「User & Market insight」
  • 技術的に正しい決断をする「Technical」

私自身、プロダクトマネジャーに必要と考えるスキルを整理して記事にしていますが、今回の講演で気づかされたのは「Team & Collaboration」の大事さです。

上の模式図でもツリーの幹になっているのが、この「Team & Collaboration」の能力です。それはすなわち、プロダクト志向のチームを作り、チーム全員がwhatとhowについて意識して行動できるようにすること。

私自身はプロダクトマネジャーの働き方について、孤高のスーパーマンというイメージを抱きがちだったのですが、プロダクトマネジャーとして成果を上げるためには、チームとして成果を出すためのチームビルディングの能力が欠かせないことに気付きました。

製造業におけるプロダクトマネージャーとは こんにちは。当ブログ管理人のkova(@KovaPlus)と申します。私は理科学機器メーカ...

スキルの掘り方と専門性のポイント

次に興味深かったのが、曽根原さんからお話があった、プロダクトマネジャーのスキル形成のモデルについて。この題材では、専門分野一点に特化したI型、続いて裾野の領域を広げたT型、複数の専門領域を持つπ型、という議論がよくありますが、曽根原さんによるとプロダクトマネジャーに関しては「W型」が有効なのではないか、ということでした。

W型とは下図のような形です。複数の領域を掘っていくことで、それぞれが関連し合う交点(赤丸の部分)ができてくる、そこにその人のスキルの組み合わせに応じた個性と価値が生まれるのではないか、という指摘でした。

非常に納得感のある指摘ではないでしょうか。私自身のこれまでの経歴を振り返っても、異なる分野間での知見が交わるところで新たな気づきが得られてきた実感があります。

なお、及川卓也さんの「ソフトウェア・ファースト」の中でもこれらのスキル形成については触れられており、本で紹介されている「藤原和博氏の100万人に一人の人材になる方法」とも若干重なる部分があるかな、と聞きながら思いました。ただ、藤原和博氏の場合は、スキルのイメージが三角形の形や面積の最大化に例えられているのに対して、I,T,πという文字の形からの連続性がある「W型」は表現として面白いと思いました。

この本を手に取ったあなたは、きっと自社の現状に危機感を抱き、自分にできることを探している、つまり「ボーっと生きていらっしゃらない方...

一方で、W型のようなスキルモデルを目指すと複数の専門分野を持つことになりますが、各専門領域をどこまで掘れば良いのかという問題があります。時間は有限だし、PMの担当範囲は幅広いため全てに通じることは事実上不可能です。

もちろんそれぞれの分野についての経験や知見は深く掘られていれば深いほどそれに越したことはないでしょうが、現実的な一つの目安としては以下のような3つの指針が示されていました。

  • 専門家の言っていることがわかる。
  • 適切な質問ができる。
  • コメントから視点が広げられる。

まずは、個々の分野の専門家の話している内容がわかること。そして、それに対して適切な質問ができること。さらに専門家との対話において、視点を広げて行けること。これはちょうど自分の部下とディスカッションする中で同様の結論を得ていたので非常に納得感のあるお話でした。

また、特にPMは幅広い領域をカバーするので、その筋の”専門家”には基本かなわないと考えた方が良い。だから、いろんな人にいろんなことを質問するのをためらうな。という指摘もありました。自分の知らない分野の専門家に対しても臆せず質問や議論をしていく姿勢は重要と私も思います。

PMはユーザーの問題の専門家

以上のように、PMは幅広い分野に対しての知見を要求されるわけですが、それではPMという存在がなんだか器用貧乏のように思えてしまいます。果たしてPMにはなんの専門性もないのか?そういう迷いを持つPMも多いと思いますが、それに対して本webinarで提示されていた回答の一つがあります。それは「PMはユーザーの問題の専門家」という視点です。

ユーザーが持つ問題意識、課題を知る。それもただ表層だけでなくその裏にある文脈(コンテキスト)まで含めて理解すること。そしてその問題をあらゆる角度から分析し、正しい問いを立てて解を与えること。それこそがPMが持っていなければならない専門性ではないか、と紹介されていました。

優先度の決め方:チームで働くこと

曽根原さんの話題において、印象的だったものの一つは、案件の優先度の決め方についてでした。たとえば営業スタッフが自分の元を訪れて、「この案件は絶対儲かるから、ぜひ開発項目に入れてくれ」と言われた時に、どのように優先順位をつけて取り組んだら良いのか?という質問に対して、曽根原さんは以下のように答えられていました。

「個々のスタッフの案件を個別に処理してはだめ。PMで全てをやろうとしてはいけない。まず、営業チームの中で、全ての営業案件の優先順位をつけること。その上でのそのリストの上から順にPMが検討していく。これがチームとして仕事をするということです。」

PMはミニCEOとも呼ばれるポジションであり、あらゆる相談事やトラブル対応が集中しがちですが、それらに対してもチームとして問題解決をするべく、一人で全てを対応しようとしない、ということは大事な視点である、と改めて感じました。

ターンアラウンドの短縮

後半の市谷さんのお話では、「ターンアラウンドの短縮」という指摘が印象的でした。「ターンアラウンド」という言葉は今回のwebinarで初めて知ったのですが、「世界への働きかけ」→「働きかけの結果としての応答」→「応答から世界への理解を正す」という一連の行為と、その期間のことと理解しました。いわゆるPDCAとも似ていると思います。

そしてこのターンアラウンドを的確に、そして速く回さないと、それだけプロダクトが”間違った”状態でいる時間が長くなってしまう、というお話でした。

特に自分が働いている製造業においてはソフトウェア業界以上に、このターンアラウンドは長くなりがちであり、より重要性が高いと感じました。

「楽しくない仕事は何かおかしい」

最後に一番印象的だった話をします。それは及川卓也さんがおっしゃられていた言葉、「楽しくない仕事は何かおかしい」です。世の中楽しいことだけやっていられない、ということはもちろんあるでしょうが、それにしても今の仕事を楽しんでいるのか?ということ。

本webinarの一番最初にPMは調整役ではない、という指摘がありました。PMは単なる御用聞きではない。「社内「調整」をするとき、そこに自分の意思はあるか?」という話題があったのですが、「仕事を楽しんでいるかどうか」というこの言葉はそれとも重なると思います。

私としては仕事を楽しめるかどうかは、その仕事に対する自分自身の内在的な同期がどれぐらいあるか、どれだけ主体的に関わっているのか、ということにかかっていると思います。「仕事を楽しんでいるか」これは以前の上司(プロダクトマネジャー)からよく問われた問いでした。その問いに自分はきちんと答えられるか、自分自身に正直にいられる働き方をできているのか、今回改めて及川さんからも、問いかけをされた気持ちです。

そういう意味では、本記事の一番上に紹介したスキルツリーに関しても、隠れたパラメータとして、「あの木をどの土壌に植えるのか」ということがスキル開発においては最も大事なことなのかもしれません。

以上、雑駁な感想ですが、webinarへのお礼の意味も込めて記事にしました。これだけの貴重なお話を無料で提供してくださったcodezineさん、それから講演者の皆様にお礼申し上げます。ありがとうございました。

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