先日の記事に引き続き、美術館に行った話です。
熱海のMOA美術館で開催されている、井上涼さんの「夏休み!BYOBUびじゅチュ館」展に行ってきました。NHKのEテレでやっている井上涼さんの番組「びじゅチューン」は家族皆大好きな番組です。その井上涼さんの企画展ということで、家族全員楽しみにして行きました。
井上涼展へ行く
圏央道から小田厚、西湘バイパス、真鶴道路と走って1時間半、MOA美術館に到着しました。最後、MOA美術館が激坂を登った山の上にあってびっくり。自転車でなら相当登り甲斐があるヒルクライムができそう。
入口前の今回の企画展のポスター。今回の目玉は「紅白梅図屏風グラフ」。MOA美術館には尾形光琳作の本物の「紅白梅図屏風」が収蔵されており、現在公開されていることから推しているのです。
MOA美術館は竣工が1981年だそうです。30年近く前の建築であるが、建物は非常に美しく計算し尽くされた設計で、この建築自体が一つのアート作品となっています。
当日はカンカン照りで、真っ青な空。やや赤みを帯びた茶色の壁と良いコントラストを成していました。
先に述べたように、MOA美術館は劇坂を登った山の上に立っているのです。なぜそんな場所にあるのか、その理由は美術館に足を踏み入れてみればわかります。大きな窓から覗く熱海の海の絶景。熱海の自然を借景して、一つの作品を作り出しているのです。晴れの日のみならず、雨の日や、春夏秋冬を通じてどのような情景を見せるのか、考えただけでも楽しみになる、、そんな場所です。
初めて見た、尾形光琳作の紅白梅図屏風。金の屏風に梅と川というモチーフで、穏やかで風雅なイメージを持っていましたが、実物を見ると筆使いや、梅の苔の描写など結構荒々しく、ダイナミックな印象。迷いなく描かれた梅の枝ぶりが美しいです。
ちなみに、尾形光琳作、「紅白梅図屏風」をモチーフとした、井上涼氏によるアニメーション作品「紅白梅図屏風グラフ」はYouTubeで見ることができます。
なお会場には紅白梅図屏風グラフのアニメ原画が展示されていました。壁一面の原画は、コピー用紙にシャープペンシルで一枚一枚、井上涼氏が手書きで描いたもの。一つの作品を作るには400枚以上の原画を起こすそうです。作品を生み出すには、この作業のほか、作詞、作曲、全体の構成の検討や映像の編集、楽曲の収録など、幅広い作業を統合して行う必要があります。途方も無い労力がかかっていると改めて思い知りました。
「梅あゆみ」の原画。頭のところは消しゴムで消して書き直した跡があります。生々しい。
壁に直接マジックで書き込まれた解説。
手書きのラフスケッチなども公開されていました。
丁寧な字で綺麗に書かれた構想ノート。
番組の撮影に使用した小物たちも一部公開されている。紙芝居の箱は思ったより結構大きい。
子供のお気に入り、ムンクの叫びラーメンの小道具も展示されていた。
私が好きなルソー5の紙人形。
こちらは祖母のコロッセオハット。中の群衆が良い表情しています。
これも私の好きな、「転校しないで五弦琵琶」から五弦琵琶への寄せ書き。
びじゅチューンで取り上げたものや、それに関係がある収蔵品には、井上涼氏による解説がついていたりする。この山水図は展示されていた作品の中でも、グッときた作品。この筆使い、余白の活かし方、スケール感が胸を打つ。
カフェでは、期間限定のスイーツ、「ザパーンドプーンLOVEソフトクリーム」が販売されている。波に見立てたソフトクリームに、富士山の形のビスケット。見た目にも鮮やかな青いソースは、オレンジの味のソース。金500円也。
子供達も大満足。
展示会のあちらこちらには、梅あゆみのフィギュアが隠れている。全部で10体あるそうだが、2体しか見つけられなかった。これから展示会を見にいく人は頑張って探してみてはいかが?
MOA美術館には初めてきたので、常設展も見ていく。気になったのは吉田博さんの木版画作品シリーズ。とっても綺麗な色で感激。木版画ってこんな表現もできるのか、と知った。美しい。
この空の青と、砂漠の茶のコントラストが美しい。
子供三人(8才、6才、1才10ヶ月)を連れての美術館観覧という事で、うるさくしたりすると追い出されるかと思ったが、美術館のスタッフがそれこそ警備の方に至るまで、子供達に対して非常に優しく接してくれたのが印象的でした。
夏休みの1日、子供も大人も大満足の展覧会でした。