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ホリゾンタルプルはフルプッシュアップの裏返し??
プリズナートレーニングを始めて最初にぶつかる大きな壁、それがホリゾンタルプルです。かく言う私も一年以上このステップに留まっています。
過去には以下の記事を公開しましたが未だに多くのアクセスをいただいており、ホリゾンタルプル攻略に苦しむトレーニーの多さを感じてます。
なぜ、ホリゾンタルプルはプルアップのステップ2なのにマスターするのがこんなに難しいのか?わけも分からずひたすらにバーを握って励んできたのですが、最近とあるツイートを見てその理由が分かった気がしました。本記事では以下にその考察を記します。
そのツイートに書かれていたのは「ホリゾンタルプルがプッシュアップの裏返し」という指摘!
確かに南州さんのいうとおりの効果を少し感じてます。ホリゾンタルプルはプッシュアップの裏返しみたいなもんですもんね。
— dinosaurlex (@dinosaurlex) December 23, 2019
絵を描いてみると下図のようになります。まずふつうのホリゾンタルプル。地面に踵をつけてバーにぶら下がります。
これをぐるっとひっくり返して地面を描くと、まさしくプッシュアップのポジションではないですか!
胸をバーまでつけるホリゾンタルプルはプッシュアップ、それもフルプッシュアップの裏返しのワークだったのです。地面を押すか、バーを引くかで使用する筋肉は一緒ですが体を一直線にホールドする体幹の筋肉などは共通でしょう。そのほかの違いとしてホリゾンタルプルはワークの間バーを握って体を支え続ける握力が求められることがあります。
難しいはずだよ、ホリゾンタルプル
ここで熱心なプリズナートレーニーのみなさんの中にはある事に気づいた方がいるのではないでしょうか?なぜホリゾンタルプルが難しいのか。
それはホリゾンタルプルはプルアップの序盤、ステップ2で登場するのにもかかわらず、プッシュアップの中盤ステップ5、フルプッシュアップの裏返しのワークであると言う事。つまりマスターに要求される能力がかなり高いという事です。
ホリゾンタルプルは初心者がいきなり挑戦すれば苦戦して当たり前の高難度ワークなのです。
フルプッシュアップはステップ5なのに…
ここで、プッシュアップのスキル開発はどのようなステップで進んでいくか確認してみましょう。
ステップ1は「ウォールプッシュアップ」。立った状態で壁に向かって行うプッシュアップです。ステップ2は「インクラインプッシュ」。腰ぐらいの高さの机を使ってウォールプッシュアップよりも体を傾けた状態で行うプッシュアップです。
次に所謂「膝立て伏せ」の「ニーリングプッシュアップ」、可動域を狭くして負荷を調節した「ハーフプッシュアップ」、そして満を持してステップ5に「フルプッシュアップ」が登場します。
細かくステップを刻んで負荷を調節しながら進んでいる事がわかります。
一方、プルアップの方はどうでしょうか?ステップ1は立って柱などを掴んで体を引く「バーティカルプル」。これはまさしくウォールプッシュアップの逆バージョンですね。さほど難しくはないワークです。さて、次のステップ2に何がくるかというと?
ご存知の通り、ここで登場するのが「ホリゾンタルプル」です!そしてこれの正体は、あれだけ丁寧にステップを重ねて到達するはずの「フルプッシュアップ」の裏返し版なのです!これは難しいよ。。。ウォールプッシュアップの次、いきなりフルプッシュアップきたらおかしいじゃん。。。?
おそらく、本来ならば「バーティカルプル」:vertical(垂直)、から「ホリゾンタル」:horizontal(平行)にいきなり飛ぶのではなく、「インクラインプル」のような中間ステップを挟みたかったのでしょうが、プルアップのステップ数が10に収まらないからこのように詰め込まれてしまったのではないか、と想像してます。
さらによく見るとマスターするために要求される「上級者の標準」が全然違ってホリゾンタルプルの方が厳しいということもあります。
それぞれの上級者の標準を比較してみると次のようになります。
-フルプッシュアップ:20reps 2set
–ホリゾンタルプル:30reps 3set
なぜ、そこまで厳しいんだ、ホリゾンタルプル。。。新入りトレーニーの心構えを試すための作戦なのか?中級者の標準の20reps 2setでまけてもらえませんか?と言いたくなってしまいます。
プルアップ特有の難しさ
さらにプルアップ特有の難しさがホリゾンタルプルの難易度をあげます。
一つは上述した握力の問題。やってみればわかりますが、プルアップ系の種目は背筋や腕の力と同じくらい握力が重要です。握力が先に力尽きてrepsが頭打ちになることもよくあります。これはプッシュアップ系にはない特徴です。
もう一つはメタ的な話ですが、練習環境の問題です。比較的自宅内で練習環境が用意しやすいプッシュアップに比べて、ホリゾンタルプルでは掴まるためのバーを自宅内で用意するのが困難と思われます。ちなみに本の中では机を掴んでトレーニングしていますが、かなりの握力が要求されるのではないかと想像します。(机でやった経験はないですが。)
その場合、公園の鉄棒などを使うことになると思いますが、鉄棒がある公園が自宅近くにあるかどうか、また、他の人が使っていないときでないと練習できない、雨の日は練習できない、などなど制約があるのに加えてホリゾンタルプルの難易度がとても高い(そして地味。。。)というところから、挫折に至るトレーニーは多いんじゃないでしょうか。
ちなみに、「ドアジム」という器具で室内でプルアップの練習をする環境を比較的簡単に作ることができるのでオススメです。バーの高さも調節可能なのが便利です。そんなに高くないですし、部屋を傷つけるリスクも少ないです。
ホリゾンタルプルとの付き合い方は?
さて、そんなホリゾンタルプルとどのように向き合って行けば良いか、以降で少し考えてみます。
大きな課題であることを認識する
まずは「ホリゾンタルプル」が難易度の高いワークであることをしっかり認識しておきましょう。単なる1ステップではなく、プッシュアップで言えば4ステップ分くらいを一気に超えていくものだという心構えが必要です。
そうでないと、プリトレを意気揚々と始めたばかりの段階で、いきなり全然できない種目が出てきて心折られてしまいます。(かつての私はここで一回挫折しています。)
プリズナートレーニングを続けている人はよくわかっていただけると思いますが、プリトレのステップを一つ進めるには最低でも2ヶ月はかかるものです。ホリゾンタルプルには4ステップ分が含まれているわけですからこれをクリアするには半年から1年かかっても全くおかしくないわけです。(私も直近1年間、ホリゾンタルプルでトラップされてます。。。)
さっさとクリアして本格的なプルアップに取り組みたい気持ちはヤマヤマですが、自分が今取り組んでいるステップの規模の大きさを認識して、時間をかけて歩を進めていきましょう。
(正直、最近は中級者の標準(20reps 2set)がクリアできたらステップ3に行こうかな、という誘惑を感じていますが。。。)
ステップを細かく分ける
ホリゾンタルプルが難しい時のために、「プリズナートレーニング」の本の中でも負荷を下げる方法としてバーの高さを高くして行うことが紹介されています。
これは正直必須事項だと思います。まずは胸の高さ、次に鳩尾(みぞおち)、そして腰の高さ、と言った感じで段階的に高さを下げていくといい感じに負荷が調整できます。
そして、これはちょうどプッシュアップにおいて、インクライン→ニーリング→ハーフプッシュアップとステップを刻んでいく過程と一緒です。なので、たとえば胸の高さはプルアップのステップ1.4、鳩尾の高さはステップ1.8、と言った感じで命名してステップが進んでいるんだぞ、という実感が感じられるようにしてはどうでしょうか?
ステップ2が難しいので、難易度を落としている、と捉えるのではなく、ステップ1から1.4、1.8と刻みながらステップアップしているんだ、と進歩を感じられれば長期に渡るホリゾンタルプル攻略のモチベーション維持ができるかな、と思います。
更なる展望:ワンアームホリゾンタルプル
ツイッターで他のトレーニーの方と意見交換していると、どうも普通の懸垂であるフルプルアップと、ホリゾンタルプルは別物らしいと思っています。フルプルアップをこなせる人でもホリゾンタルプルができない人は多そうなので。
なので、プルアップのスキルはワンアームプルアップを究極の目標とする「純正プルアップ」系統と、「ワンアームホリゾンタルプル」を目標とする「ホリゾンタルプル」系統の2種類に別れるべきなのではないか、と妄想してみました。
- バーティカルプルアップ
- インクラインプルアップ(High)
- インクラインプルアップ(Low)
- ニーリングホリゾンタルプルアップ
- ホリゾンタルプル
- ワンアームインクラインプル(High)
- ワンアームインクラインプル(Low)
- アンイーブンホリゾンタルプル
- ワンアームハーフホリゾンタルプル
- ワンアームホリゾンタルプル
ホリゾンタルプル攻略の暁には目指してみるのも面白いかもしれません。
ということで、ホリゾンタルプルが難しい理由の考察、フルプッシュアップの裏返しがホリゾンタルプル、の記事でした。