自転車への偏愛:ハンドメイド フレームパッド トップチューブカバー

AIの躍進が注目されるいま、人が人たる所以、それはこの世界に対する欲望、そして偏愛とも呼ばれるコダワリの世界である。

スポーツ自転車にはスタンドをつけないことが多い。それは元々競技に使用する前提の運用思想があるため、競技に必要ないスタンドは、無駄だからである。当然レース競技中に止まって用足しするはずも無く、競技用自転車が想定するシチュエーションにスタンドは存在しないわけだ。

ところで、我々はいつも競技ばかりしているわけではない。私みたいに競技はせずに通勤やお買い物、ツーリングに使用していれば、そこかしこで駐輪する状況がある。

そういう場合、スタンドが無い自転車は何かに立てかけて止めることになる。壁があれば壁に立てかけるが、街灯や電信柱、交通標識の支柱は 盗難防止の「地球ロック」の観点からも良く使われる。

この時気になるのがフレームの傷つき。柱とフレームが接触させざるを得ないがこのとき直接触れれば塗装面へのダメージは避けがたい。

そこで重宝するのがフレームパッド やトップチューブカバーと言われるプロテクターである。

布やスポンジ等のクッション性の良い素材で作られたプロテクターで、トップチューブに巻きつけて使う。固定はベルクロ方式(マジックテープ)が多いか。おしゃれなものもあるようだ。

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ハンドメイド フレームカバー

私が使っているのは、このカバー。やたら渋い柄のこのカバーは嫁のお手製だ。何年か前の誕生日プレゼントで貰ったものである。今でこそ我が家にはミシンが導入されたが、このフレームパッド製作時にはまだ家になく、嫁の手縫いで製作された。一針一針、念の込められた一品には安全祈願のお守りとしての効力もありそう。

生地は着物をイメージした和モノ。生地自体は厚いものでは無いが、内部にキルト芯を入れることでクッション性を高めている。というかつまりキルティングで作製されている。

固定は一般的?なベルクロとは異なり、ボタンを使う方式。ボタンをかける紐も、本体と同じ生地から作成しているコダワリを見よ。

このあたり、私はマジックテープでいいよって伝えているのだが、職人の細部へのこだわりは手抜きを許さず、妥協のない仕上がりとなった。

気になるのは走行中ずれやすいこと。裏側に滑り止めがあると良い。使用するときはゴムの滑り止めを間に挟んで使用している。

ストーリーがあるハンドメイド品には、大量生産された工業製品にはない、特有の魅力、偏愛による魅力が存在する。世界にモノがあふれるようになった現代からこれからの時代に向かっては、「どこにでもない物」が持つ、そういった魅力がますますクローズアップされ、重要視されるだろう。

本フレームパッドはまさしく、そういった一品であり、逸品なのである。

生物学者の中屋敷均は、著書「科学と非科学 その正体を探る」において、人それぞれの偏愛が、世界へ彩りを与えると説いている。

「星の王子さま」の中で、王子さまと出会ったキツネは、世界でたった一匹しかいない、「黄金色に輝く麦畑を見て王子さまの金髪を思い出すキツネ」になった。中屋敷はそのキツネを例に挙げて次のように言う。

愛着を持つことは世界に偏りを作ることである 。世界にいるすべてのキツネをどれも同じというのでなく 、その一匹と特別なつながりを持つことで生じる偏りが 、その歪みが 、 「形 」を 、そして 「世界 」を作り出すのだ 。そして 、それはあなたとキツネが出会わなければ 、この世に生じない新しい 「世界 」であり 、そのことで世界は少しだけ切り拓かれ 、豊かになっていくのだ 。

このフレームパッドもそのようにして偏愛がこの世に具現化したもの。そして私の世界に新たな彩りが生まれる。

筆者はウイルス等を専門とする生物学者。題名からして科学哲学の本である。そして実際科学哲学を扱っているのだが、根底にあるのは、科学をどう扱うかということを通じて、「我々はこの世界でどうやって生きていくの?」という実存的な問いだ。

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