10月30日 無事に試験を受けてきました。
R3年度よりも自宅から遠い会場。会場の最寄駅に降り立つと「一年前の借りを返しにきたぞ」とテンションが上がるのを感じる。朝食が早かったので事例Ⅰが始まる前にカロリーメイトをかじって燃料補給。自信満々で「さぁかかってきなさい」という意気込みで臨む。なお会場は結構寒くて閉口した。
以下に各事例の再現答案を書いておきます。
(1/14追記:この答案で筆記合格しました!なので合格答案です。)
目次
事例I
第1問 A社の弱みと強み(100字)
与件文からの抜き出しで現代文の問題だが、制約条件として「A社が株式会社化する以前」とあるので時制に注意した。
強みは①有機JAS、JGAP等の認証。②菓子メーカーとの共同開発による菓子が人気。弱みは①社員教育や役割分担が不十分。②社員が定着せず採用難で人材不足。③繁忙と閑散の差が大きく品質と出荷量が不安定。
弱みで繁閑の差が大きいことを入れたが、後の設問で有効活用できず。
第2問 新規就農者を獲得し定着させるために必要な施策(100字)
施策は①社内研修等の社員教育を行う。②役割分担を明確化し担当業務に集中させる。③代休等の働きやすい制度導入。④地域との交流会を開き新人をなじみやすくする。以上で新人の獲得と定着を行う。
与件文から、急な休日出勤が多い、新しい人が地域に馴染めない、社員教育やってない、あたりを拾って書きましたが、改めて見てみると獲得の施策としては不十分だったかな。
第3問 大手中食業社とどのような取引関係を築いていくべきか(100字)
中食業社の要求に応えることで成長が見込め、売上が確保できるメリットを活用しつつ、売上が過度に依存し経営が不安定化したり他事業へのリソースが不足することを防ぐため、直営店や他業者との取引を開拓する。
予件文の「中食業社への売上依存が進んでいる」というところに引っ張られすぎて題意を外したか。何書いたら良いかよくわからなかった。
第4問 設問1 今後の事業展開にあたりどのような組織構造を構築するべきか(50字)
農業、直営店等の事業毎の事業部制とすべき。役割分担と利益責任を明確化し意思決定を速めて売上増を狙う。
とにかく業務を兼任している人が多く、役割分担が不明確なのが強調されているので、事業部制を提案してみた。業務の繁閑の差が大きい点でリソースを有効活用するためにはマトリクス組織も良いのかもしれないが、役割分担は混乱するのでやめた。予備校の解答では機能別組織となっていてよくわからない。
第4問 設問2 後継者を中心とした組織体制にする際の権限移譲や人員配置の助言(100字)
①直営店は後継者から若手社員に段階的に権限委譲し、後継者の時間的余裕を確保する。②現経営者から後継者に農業法人全体の事業を継承していく。以上で社員のモラール向上と組織活性化、後継者の育成を行う。
直営店には有効性の高い提案を挙げてくれる若手社員がいるようなので、若手に権限委譲。後継者は農業のことは門外漢状態なので、直営店を任せて空いた手で農業法人全体の経営を継承する。最後はモラール向上、組織活性化、社員育成をぶちこむ。
事例II
第1問 B社の現状の3C分析(150字)
①顧客の観点では卸売が9割、直営店が1割。コロナ禍のためホテル、飲食店への卸売が激減。直営店は好調。②競合は大手食肉卸と全国チェーンスーパー。③自社は品質の高い食肉を仕入れ、自社工場による高い加工技術による製品の品質の高さが強み。顧客ニーズに合わせたメニューの提案や半加工品の提供が可能。
与件文の抜き出し。競合についての記述はあまり見当たらないため、自社の話を多くした。もっと記述を整理すれば内容を増やせたかも。
第2問 地元事業者と協業してB社の製造加工技術力を活かした新製品開発の助言(100字)
地域の畜産業社の食肉を、B社の製造加工技術で加工し高付加価値の差別化された商品を製造する。地域ブランドとして観光地や道の駅で販売し、地域外に魅力を発信し地域の活性化を行う。
制約条件として「商品コンセプトと販路を明確にする」ということなので、それぞれを明記した。
第3問 直営の食肉小売店の販売力強化(100字)
料理の楽しさに目覚めた人や作りたての揚げ物を好む人を対象として、①チラシでおいしいレシピを提案し顧客満足度を高めて愛顧を獲得する。②揚げ物の品揃えを充実させて購買数を増やし客単価を向上させる。
今気づいたけど制約条件として「顧客ターゲットと品揃えの観点から」とあるので①は題意から外れてるじゃんか。提案営業というのは悪くなかったと思うが残念。
第4問 オンライン販売に向けてどのような販売事業者と協業するべきか。また長期的な成功のためどのような提案を行うか(150字)
食へのこだわりがある客層を持ち、差別化されて専門的な商品を扱う事業者と協業すべき。消費者ニーズ上位の献立の考案、調理の手間削減に着目し、献立カレンダーに基づいた半加工済みの製品が定期配送されるサービスを提案するべき。B社の強みの製品力と提案力を活かして固定客を獲得しLTVを最大化する。
「どのような販売事業者」というのがざっくりしていて苦慮したが、与件文では「大手ネットショッピングモールとの協業は失敗」とあるので、押してダメなら引いてみなということで、その反対の業者を想定した。チャネルの限定された事業者のイメージだがこれで良いのか。提案内容についてはこんなものだと思うが、「長期的な成功」ということで固定客の獲得とLTVの最大化と記述した。
事例Ⅲ
事例Ⅲ始まった瞬間、頭がぼーっとして働かない感じ。朝から気が張ってたから疲れてしまったのか。惰性と手癖でやっつけようとしてしまった。
第1問 C社の販売面、生産面の課題(80字)
販売面では、コロナ禍で既存の取引先の売上が減少する中、新たな成長市場の客先を開拓すること。生産面では客先要求の小ロット化対応のため製造リードタイム短縮。
与件文からの読み取り。課題がこの2つなのは明らかと思う。
第2問 新規受注の短納期化を図るための課題と対応策(120字)
課題は金型製作工程のリードタイム短縮。対応策は①客先仕様確認に設計者等技術者が立ち会い手戻りを無くす。②金型設計者を専任させ受注品設計による混乱を防ぐ。③金型のベテラン技能者の技術を若手に継承し担当者を増やす。
再現解答は文字数が足りないので、本番ではもうちょっと何か書いたかもしれないが大まかには上記の通りと思う。新規受注品のみ金型製作工程が発生するため、そこに着目して解答作成。対応策①は過去問で出てきたやつだが、今回の事例にはそぐわないかも。②は想定解の一つだと思う。③は試験中はあまり納得してなかったが「高齢技術者の技術を若手に継承しようとしている」と与件文に書いてあり他に使うところがないので入れた。今見てみるとそんなに悪くない解答か。
第3問 顧客企業の発注方法の変化に対応すべき生産面の対応策(120字)
受注量に見合ったロットサイズになるよう基準日程を短縮する。具体的には①段取り作業の外段取り化や複数人で行うなど短縮する。②プレス加工以外の工程も含めて生産計画を作成する。③生産計画を月2回作成し短サイクル化する。
段取りが長時間かかると書いてあるので短縮しろ。プレス加工だけしか生産計画を作っていなくて後は行き当たりばったりなので全部計画しろ。生産計画が月1回なので短サイクル化しろ。こんなんで良いのか?
第4問 C社で優先すべきデジタル化の内容と、そのための社内活動(120字)
何を解答したら良いのか、皆目検討つかず。
顧客ニーズの短納期、小ロット化に対応するため全社で一体となり、営業・生産・設計間の情報を一元管理、共有しデジタルデータで伝達することで生産計画策定を短サイクル化してリードタイムを短縮する。3DCADを導入する。
いわゆる「DRINK」のキーワードを混ぜ込んで何かしら書いたが全然具体性なくて意味不明。コンサルからこんな提案もらったら怒っちゃうかも。部門間の情報共有のあり方は課題の一つと思うので書いた。「社内活動をどのように進めるか」という制約は「全社で一体」と書いた。C社の製造工程はいろんな部門が協力しないといけないので。与件文で「2DCADで設計している」とわざわざ書いてあるので最後に3DCADを付け足したが、第2問で使うべきキーワードかも。
第5問 ホームセンターとの新規取引は今後の戦略にどのような可能性を持つのか(100字)
第4問の検討に時間使いすぎてしまったので急いで書いた。(順番的には解答に見当がつきそうな第5問を先に仕上げ、最後に第4問とした。)
成長が見込める新規顧客を開拓することで経営が安定化、高付加価値製品により収益が向上する期待がある。小ロット化への対応を実現することで、C社の強みの技術力とあわせて訴求し更なる新規顧客の開拓に期待。
改めて見てみると制約条件の「戦略に」という意味では、解答した内容は「期待される効果」であって戦略ではない気がする。題意を外したか。
事例Ⅳ
事例Ⅲで頭が働かないのに気づいたので、少々のコーヒーとチョコをたくさん食べて燃料を補給して臨んだ。
第1問 設問1 同業他社と比較して優れている財務指標2つ、課題を示すものを1つ挙げる。
例年通りの経営分析で安全圏に向けて確実に得点を確保、、、のはずが今年は変化球で「生産性に関する指標を必ず入れること」という制約条件あり。例年「収益性、安全性、効率性」の3つで対応できるから生産性についてはそもそも指標名や計算方法を覚えてない。直前にテキスト見た時も「生産性はどうせ使わないからいいや」って飛ばしてしまった。。。などなど驚きと後悔の中、開始。
優れてる:売上高総利益率 59.59%
優れてる:流動比率 368.82%
課題を示す:従業員一人当り売上高 1952.17万円
収益性の観点から、抜群に売上高総利益率が高いのでまず確保。営業利益も優れているが総利益率の影響が支配的なため候補から外す。経常利益率も同じ。
続いて課題を示す指標だが「有形固定資産回転率」が明らかに低い。また生産性の指標で唯一思い出したのが「従業員一人当たり売上高」でこれも明らかに低い。生産性の指標を必ず入れなければならず、かつ一つしか指標を思い出せないので「従業員一人当たり売上高」で解答。
優れてる指標を後一つだが、これが見つからない。悩んだ末に流動比率を解答。他社より優れているには違いない。
周りの受験生も面食らっているはずだから、となんとか平常心を保とうとする。が実際はすごく焦っていた。上述の解答プロセスは試験後に整理して書いたから、きれいに思考した感じになってるけど現場では不安と混乱の中の取捨選択である。
第1問 設問2 同業他社と比べて明らかに劣る点を指摘し、財務指標から読み取れる問題を述べよ。(80字)
自動車パーツ製造事業の3Dプリンター等、有形固定資産が収益に貢献せず効率性が悪い。従業員一人当たり売上高が同業他社の半分以下と生産性が極めて低い。
「課題を示す指標」で挙げた「従業員一人当たり売上高」だが与件文から根拠となる記述が見つからず文字数が足りない。有形固定資産回転率は与件文に固定資産の記述があるためこれを入れて解答。設問1では解答できなかった指標なのでセオリーからは外れる気がするが「明らかに劣る」のは間違いないし他に書くことも無いので入れておく。
第2問 セールスミックス
問題文を読んで線形計画法と理解。落ち着いて解けば解ける自信のある問題がゆえ、これを絶対に取らないといけないとプレッシャーを感じ焦る。
設問1
2,840,000円
Aを1800個製造 Bは0個
過程は割愛。設問1では制約条件が作業時間しか無いので、時間当たりの限界利益がより高いAを全力で生産するのが最適。解答は利益額なので共通固定費を忘れずに引く。
設問2
2,200,000円
Aを1400個、Bを200個
過程は割愛。材料に関する制約条件が加わるので、材料の制約条件と時間の制約条件の式を連立させて解いて最適数量を求める。共通固定費を忘れずに引く。
実際は設問1を途中までやってなんかよくわかんなくなって、第4問に行ったり、第3問見てよくわかんないからやっぱり可能性のありそうな第2問をやらなきゃで戻ってきて設問1と設問2を仕上げたと思う。途中で動悸とめまいを感じ、ここで力尽きて1年の苦労が無駄になるのか、など泣きそうになり(ガチで)散々な目に遭う。もし落ちたら勉強続ける覚悟はあるのかな、とか1年準備期間あったのになんでこの問題解けないんだろうとか負のスパイラル。日常生活で経験しないストレスでハードな資格試験って単純に健康に悪いなって思った。トラウマになりそう。
第3問 投資の有効性判断
回収期間法とかNPVのキーワードが見えるため、ダメージコントロールで切り捨てることを早々に決定。問題文を読んでも頭の中に入ってこない。プレッシャーのない状況で過去問は解けても不安と混乱の支配する本番環境で通用する実力ではなかった。ただ第2問を完成後に、3−1だけはやっつけるために帰ってきた。
設問1
675,000円
外部業者に依頼する場合、買取金額の2%が手数料。自社でやる場合の費用は労務費と間接費合わせ1台あたり13,500円なので、手数料と自社費用が等しくなる条件として計算し675,000円とした。合っているかは確認していない。
第4問 中古車販売事業を実行する際のリスクとマネジメント(100字)
①海外取引のため為替リスクがある。為替予約やオプション等によりリスクヘッジする。②ノウハウを持たないため収益性や生産性が悪化する。他社との協業やフランチャイズ加盟等で補う。
第2問で頭が真っ白になったところで、2次試験事例Ⅳの鉄則、「最後の助言問題を必ず解け」に従い緊急避難。パニックなので何かいたら良いか全然わからないが与件文を読むとリスク要因として「海外取引であること」「ノウハウがないこと」と書いてあるのでそこからでっちあげる。
第1問の配点が25点、第2問の配点が20点、第4問が20点。第3問を全て捨てても40点を確保し足切りは無いぐらいにはなったかなと思い少し安心する。
最後見直しながら残り時間5分になったところで、ふと第3問が目に入る。改めて問題文読んでみると時間がある時に落ち着いてやればできそうだな、と思う。でもこの本番ではできないな、と思う。
総評
事例Ⅳは不安だが難化したのは間違いないだろうから、あまり差がつかないか。他の事例でカバーできれば良いが、再現解答作りながら見直すとちょっと不安になる。いずれにせよ1/12の結果発表を待つしかない。お疲れ様でした。
結果
1/14追記 1/12結果発表があり、ありがたいことに合格していました!支えていただいた全ての方に感謝。