自転車の整備を自分でやる理由を雪風のロンバート大佐に学ぶ

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自転車の整備を自分でやったほうがいい理由

自転車の整備は可能な限り、自分の手で行うべきであると考えている。

それは何故か。整備を自分ですることによって、自転車の仕組み、機構を理解することができるからである。

他の様々なスポーツやトレーニングを行うときでも、身体の仕組みをよく理解したほうが効果がある、ということはよく知られている。そのためプロのアスリートでも運動生理学や、栄養学を学ぶために大学に入り直す者もいるぐらいだ。

サイクリング、ロードレースは機材スポーツである。自分自身の身体について熟知し、コントロールできるように鍛えていくのはもちろんの事、自分が使用している自転車についても理解を深める必要がある。自分の身体の隅々まで神経を行届かせてパフォーマンスを発揮するのと同様に、自転車の性能を最大限に発揮するために、その自転車の機構の理解は必須なのだ。

知識を“身につける”ということ

さて、自転車の機構の理解であれば、本を読んだり、動画を見たり、ショップの人から話を聞けば十分わかる、という意見もあるだろう。「餅は餅屋」という言葉もある。素人が大事な自転車の整備に手を出すなんて壊してしまったら大変だ。と心配する気持ちもわかる。

しかし、生物学者の養老孟司は、長野県で行われたとあるフォーラムにおいて、このような発言を行なっている。

私は、医学生には体を動かすことを中心に授業をしています。机上での講義は1年に1度くらい、ほとんどは実習室に入ってメスを握ってもらい解剖を行う。すると学生は真剣に、まじめに取り組みます。体を動かすことで感覚から入っていって、どんどん上手になる。そして、ひとのことを本気で考えるようになります。解剖しながら、このひとの人生はどうだったのだろう、なぜ今こういう形で自分はこのひとと向き合っているのだろう……と。

学習の根本は、身体を含めた感覚と運動、それを繰り返すことです。それしかないと、私は思っています。それを、日本では昔から「身につく」といっています。

https://www.pref.nagano.lg.jp/kikaku/manabi/forumvol2report.html より引用

例えば、ペダリングのスキルを上達させようと思った時、YouTubeの動画を見たり、上手い人から話を聞いただけで上手になれる、と思う人はまずいないだろう。自分の体を使って、動画の内容や聞いた話を試し、自分の体を使って得た体験からフィードバックを得て学習しなくてはならない。ペダリングはもちろん身体を使う運動のスキルだから、体で覚えるのが当たり前なのだが、養老氏の指摘にもあるように、知識を深める、と言った知的な作業においても身体動作を伴って学習することにより、効果が高まり、“身につける”ことができるのである。

また、整備を行う事で単に乗るだけでは注意しないような自転車の細かい点についても、注意深く観察するため、ネジの緩みや、場合によっては部品の破損、フレームの亀裂などといった重大な故障にいち早く気づくこともできる。競技用の自転車では、自動車並みの速度で走ることが珍しくない。故障は文字通り命取りになる可能性がある。

「自転車の整備」と聞くと、高価な専用機材や工具をたくさん揃えて自転車の細部まで分解、オーバーホール、みたいに難しく考えてしまうかもしれない。しかしそう構えることは無いのだ。何も我々はプロショップを開業したいわけでは無い。競技者であれば、練習をおろそかにしてまで整備に明け暮れようとは言わない。

例えば極あたりまえの作業、洗車にしたって立派な整備のうちである。チェーンの洗浄にしてみたって、未経験ならば自分でやって見ることで必ず発見があるはずだ。そしてその先には、有効な洗浄剤や、長持ちする潤滑剤の選定など奥深い世界が広がっている。

ロンバート大佐かく語れり

私の好きな、SF作家、神林長平の作品に「戦闘妖精・雪風」というものがある。その作中において、「ロンバート大佐」と言う人物は次のような発言をしている。

人間は、歴史から学ぶなどということは絶対にしない。それは当然なのだ、どのような歴史的教訓も一個人にとっては実体験するまでは虚構だからだ。人間は実体験からしか学習できない。生物とはもともとそういうものだ。

神林長平 「戦闘妖精・雪風 アンブロークン アロー」より

ロンバート大佐の意見は、かなりラジカルではあるが、それでも傾聴に値する。さぁまずは洗車からでも自転車整備をやってみようじゃないか。

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