自転車DIY:自家塗装でフレーム&フォークのリペイント ウレタンクリアーの罠

前回記事

Surlyのクロモリシングルスピードsteamrollerに、ブレーキケーブルのアウタートンネルを自分で溶接してみた。悪戦苦闘の作業記録と、作業手順の紹介、そして使用工具の一覧など。

前回に引き続き、塗装編である。正直ろう付けは非常に苦戦したが、この後の塗装については余裕を感じながらの作業開始となった。なぜなら小学生から高校生にかけてはプラモデル作りに結構凝っており、スプレー塗装はお手の物であったからである。結婚、子供を授かってからはめっきり遠ざかったが、それでも昔取った杵柄、自転車の塗装と言えどナンボのもんじゃい。余裕余裕、と舐め腐って取り掛かったのである。

スポンサーリンク
スポンサーリンク




下地作り 洗浄

前回もちらっと書いたが、塗装を上手におこなうには下地作りが退治である。女性のお化粧でもそうだが、まずは汚れをしっかり落とすことから始まる。中性洗剤をスポンジにつけてしっかりチリ、埃、そして油分を洗い流そう。自転車なので汚れがひどい場合にはディグリーザーなんかで落とした方が良いかも。

マスキング

今回、ヘッドパーツはくっつけたまま塗装するので、マスキングしておく。まずはヘッド部分全体をマスキングテープでカバー。最近は、“マステ”とか呼ばれてすっかりおしゃれ雑貨気取りの、マスキングテープさんだが今日はその本来の使命を果たしてもらうぜ。

余計なところをカッターで切り取りましょう。写真に写っているのはオルファのアートナイフで、刃の切れ味が非常に鋭く、細かい作業や曲線を切るのが得意、という有名商品です。マスキングテープのカットにはもってこい。そのほかにも手元に一本あるとなにかと頼りになる一品。

事務用品のカッターは直線を切るには威力を発揮するが曲線は切りづらいのである。

カットを終えたところ。今回100円ショップのダイソーのマスキングテープを使ってみましたが、これはどうも今ひとつ。紙質が硬く、曲面や複雑な形状にいまいちフィットしない。しなやかさが足りないとでも言うか。マスキングの失敗というのは非常にダメージが大きいものである。万全を期して事に当たりたいものだ。ならば、やはり日東などのしっかりとしたブランドの商品を使おうと思った。しかし、やり直しは面倒臭いので、今回はこのまま突っ走ります。

下地作り プラサフ

お化粧で言えば、ファンデーションか。下地づくりの次工程はサーフェイサー吹き(サフ吹き)である。今回は、ボデーペンのプライマー機能も併せ持つサーフェイサー、「プラサフ」を使ってみる。スプレーなので簡単に施工できる。

いきなり本番の塗料を吹く前に、一旦プラサフを吹くことにより、強固な塗装を行うことができる。特に今回は溶接部に金属の素地が出てしまっているので、この上にいきなりラッカーのスプレーを吹いても定着は弱い。ここを定着させるための機能がプライマーである。

で、フォークにサフ吹き。スプレーを吹くときは、面倒くさくても保護メガネをし、花粉症の時期に使うような簡単なもので良いのでマスクをした方が良いです。今回屋外で作業したのですが、かなりスプレーが舞ったり、流されたりします。風向きによっては自分に向かってくるので目や口から体内に入ることを避けるために保護しましょう。

トラスコ中山の保護メガネは、安いのでお勧めです。

しっかりした防毒マスクがあれば、有機溶剤の心配をせずに作業に集中できます。ここまでのものでなくても、何らかのマスクで口や鼻は覆っておきたいところです。

かく言う私は、今回保護メガネはつけませんでしたけど、常用している視力矯正用のメガネが、スプレーの飛沫でかなり汚れてしまいました。ショックです。

失敗しないスプレー塗装のコツ

唐突ですが、スプレーを扱う時の失敗アルアルと言えば、「塗料が垂れてしまう」。これに尽きると思います。これを回避するために重要なコツを紹介します。

スプレー塗装のコツ1:常にスプレーを動かしながら吹き付け

塗料を吹き付けるときは塗装対象に対して一箇所にとどまらず、常にスプレーを動かしながら吹き付けましょう。また、吹き始めと吹き終わりは塗料の噴出が不安定なので、最初と最後は目標から外れた場所で吹き始めるとgoodです。しっかり塗ろうと思って一箇所に集中して吹き付けるとあっという間に垂れてしまいます。

視界の開けた戦場で、足を止めることが自殺行為なように、スプレー塗装においても、一箇所にとどまることは自殺行為と肝に銘じましょう。

シューっと吹き付けながら動かしていき、後戻りもせず駆け抜けるイメージです。

スプレー塗装のコツ2:一度で仕上げようとしないで重ね塗り

コツ1を実行すると、一度では思うようには塗れないです。ですので何度も吹き付けを繰り返しながら塗って仕上げます。このとき、前に吹いた塗料が乾く前に吹き付けを繰り返しすぎると、やはり垂れてしまいます。加減をみながらの作業ですが、慣れないうちは十分乾燥時間を確保しましょう。

フレームもサフ吹き。なかなかえー感じです。

フォークの塗装:グロスブラック

フォークはグロスブラック。世界のタミヤのラッカースプレーでいきます。

塗っている途中の写真は撮り忘れました。完成写真がこちらです。いけるやん!

我ながらよく塗れました。たまらん。

フレームの塗装:ライトグリーン

フレームは、ライトグリーン。ベランダの物干し竿にワイヤーでぶら下げて塗っていきます。なお、ベランダの手すりとかは新聞紙でマスキングしておいた方が良いです。微妙に塗料が飛ぶので、私は後で嫁さんから怒られました。。。

天気も良い、連休の午後。これまたいー感じにフレームがライトグリーンに染まります。

アウタートンネルのところも、ヤスリでの仕上げ+プラサフによる効果で、綺麗に仕上がりました。プラサフはグレー色です。もともと、金属の下地あり、元々の塗装色あり、でしっちゃかめっちゃかの上に塗るより、プラサフで一旦全面グレーにした後に、本番の色を塗ることで色ムラの無い塗面を得ることができます。

思ったよりもだいぶ綺麗な仕上がりでワクワクが止まらない。。。

おや、しかし、遠くにあやしい雲がもくもくと湧いてきた模様。むむむ。

フレームの塗装:グロスブラック

リア三角は、フォークと同色のグロスブラック。業者に頼むと2色塗り分けは追加料金取られたりするわけだが、自分でやる場合は、何色でも好きなだけやればよい。塗料代と時間の許すかぎりね。

ここまできていよいよ雲行きがあやしい。しかし、まだ工程は続くのだ。何とかもっておくれ。と祈る。

ブラックが乾いたところで、室内に取り込んで、マスキングを剥がすぞ。

うーん、バッチリですよ。

マスキングも綺麗に塗り分け成功です。

デカール貼り

続いてsurlyのデカール貼り。surly製品はこういったリペイントや補修する人向けにデカールセットを販売しているのです。

Surlyの自転車は補修パーツとしてフレームステッカーを販売しています。このステッカーキットにはフレームに貼るロゴ類だけでなく、ヘッドバッジやスチールパイプの銘柄ステッカーまでついてくるんです。さらに今回はBlue Lugさんからのおまけ付。

ダウンチューブにはメインのでかいステッカーを!

トップチューブには「Steam roller」!

チェーンステイには「fatties fit fine」!

後、フォークにも貼っておきました。

プラモデルでもそうなんだけど、デカール貼ると一気に完成度が上がってテンション上がります。

クリアー吹き~完成

しかし、最後の工程がまだ残っている。クリアー吹きだ。Surlyのデカールは貼ったまんまでは、ちょっとぶつかったり、洗車したぐらいでも剥がれてしまう繊細なデカールだ。デカールや塗装面を保護するために、全面をコーティングする必要がある。

今回はウレタンクリアーを採用だ。初めて使う製品だが、よく話に聞くので試してみる。2液硬化型と言うことで、作業前にお尻のピンを押し込んで2液を混合させてから使うとのこと。ただし、一度硬化反応が始まると、12時間以内に使い切らなければならない。ちょっとふつうの塗料とは異なる点だ。

しかし、所詮は合成樹脂のスプレー塗料である。ふつうのラッカースプレーと大差は無いだろう。楽勝楽勝。。。と思っていた。この驕りが後に悲劇を生むこととなる。。。

いよいよ天気が悪くなってきた。作業のGOをかけるか、かけまいか。一度ピンを押し込んだら、もう後には引けなくなるのだ。しかし、ここまで仕上げてもこの機会を逃したら、連休中に再度時間が取れるか、分からない。。。

えーい、ままよ!遠雷が轟く中、ピンを叩き込み私はベランダにフレームを片手に飛び出した。あとは、無心にクリアーを吹き付けるのみ。拭き残しがないか、吹き足りないところはないか、角度を変え、立つ場所を変え何度も繰り返し吹いていく。クリアー吹きが終わるか、ポツリポツリとくるのが早いか、すんでのところでクリアを吹き付け、作業終了。

その後、土砂降りの夕立となった。出かけていた嫁と子供たちは雹に振られ散々な目にあったそうな。

室内の物干しに引っ掛けて乾燥を待つ。ウレタンクリアーは結構臭いので、できれば晴天時に屋外にて作業したい。

クリアーが乾燥後、ヘッドバッヂを貼り付け!

チューブのギャランティーシールを貼り付け!

やったー、完成だよ!!すげーいい感じじゃん。

元はこんな色のフレームだった。この色は気に入っていたし、全然ありなんですけど、やはりリペイント後のライトグリーンもいかすぞ!やったね。

ウレタンクリアの罠

というわけで、完成した、はずなのだった。が、しかし。

ウレタンクリアの缶には、まだ若干塗料が残っていたのである。12時間たてば使えなくなってしまう。処分する時も大変そうだし、吹いてしまった方が良いかな、などという思いがむくむくと沸き上がる。またデカールの部分は特にクリアーは厚く重ねておきたい。

プラモデルなら、クリアーを何度も重ねて吹いていき、最後に紙やすりとコンパウンドで磨き上げることで、デカールの段差を無くす、「研ぎ出し」という技法がある。

研ぎ出しをやるつもりはないけれども、せっかくクリアーも余っているんだし、ちょっと上塗りしてみることに決めた。これが間違いのもととはつゆ知らず。

子供が寝入った夜9:00、玄関先にて作業再開。薄暗い門灯の明かりと、スマホのライトを頼りに、残ったウレタンクリアーをデカール部分を中心に吹き付けていく。

ところが、おや、何か様子がおかしい?塗料表面がザラザラしているように見えるぞ。雨は完全に止んでから作業しているが、湿気が残っていて“かぶって”しまったのか?(湿気があるときにクリアー塗装をすると、白く濁ったりしてしまう、これを俗に“かぶる”と言う)

乾燥を待ってから室内に持ち込んで見てみると、、、何だこれは!?細かいひび割れのような文様が吹き直した箇所に現れているゾ!

事がここまで至ってから、ようやく「もしかしてウレタンクリアは重ね吹きしちゃいけないの?」と疑い始める。そして、背面の細かい注意書きを読んでいくと、

・スプレーしたウレタンクリアーの塗膜が完全に乾燥している状態から再度上塗りできない。

・ウレタンクリアーで補修した箇所を再度補修する場合、チヂミ発生を防ぐため、必ずウレタンクリアーを塗装した部分の下塗り塗膜(プラサフ)まで完全に除去する。

ギョエー、完全硬化後の再塗装不可と書いてあるやんけ!このひび割れみたいなのが、チヂミという事か。。。

はい。私が愚か者でした。注意書きを読まずに作業した、私の瑕疵です。模型業界ではクリアを重ねて吹くことは当然のことであり、ウレタンクリアーについては、それが不可であるとは思いもよらなかった模様である。使う前に注意書きをきちんと読もう、という一番基本の事項、足元を完全にすくわれた格好である。痛恨!

しかしね、私は思う。こうして我がsteamrollerの表面に生まれたチヂミ模様は、同じ模様を再度作れ、と言われても到底再現不可能な偶然の産物である。それは下地塗装、や上塗りの塗装量、表面の微妙な凹凸、そしてその時の、気温や湿度などなどさまざまな条件が合わさった上でウレタンクリアのエネルギーが一番安定となる形態が、あの場所にあのパターンで生じたチヂミ模様であるということだ。

さて茶道の世界にはいくつもの名器が存在する。そのうちの一つに、曜変天目茶碗という茶碗がある。wikiから説明を引用すると下記のようなものだ。

漆黒の器で内側には星のようにもみえる大小の斑文が散らばり、斑文の周囲は状の青や青紫で、角度によって玉虫色に光彩が輝き移動する[1][2]。「器の中に宇宙が見える」とも評される。曜変天目茶碗は、現在の中国福建省南平市建陽区にあった建窯中国語版[3]で作られたとされる。現存するものは世界でわずか3点(または4点、後述)しかなく、そのすべてが日本にあり、3点が国宝、1点が重要文化財に指定されている。いずれも南宋時代の作とされるが、作者は不詳である。日本では室町時代から唐物の天目茶碗の最高峰として位置付けられている[4]

Wikipedia

このような絶妙な文様をもつ曜変天目茶碗だが、現代の技術をもってしてもその文様を再現することはおろか、その美しい発色の原理すらもまだ明らかになっていないという。恐らくは、数多くの茶碗を製作する中で、複雑ないくつもの条件が重なり合って極めて稀に生まれ出るのが、曜変天目茶碗なのではないだろうか、と一説には考えられている。

こうして考えてみれば、私のsteamrollerのフレームに浮き出た文様も偶然が生んだ文様であり、世界に一つのオリジナルな文様である。ならば、それもまた個性として愛そうではないか。曜変天目のように美しいものではないかもしれない。しかし、これも私のおっちょこちょいさ、不注意さといったパーソナリティの現れであり、私ならではの作品と言えるのだ。負け惜しみではないぞ!

とはいえ、次ウレタンクリアーを使うときは、絶対に重ね吹きはしないと、心に誓った。正直やり直すのはあまりにも手間なので、今回はこのまま行ってみるしかない。この記事をご覧になった皆様、ウレタンクリアーを使う前に、よく注意書きを読みましょう。そしてくれぐれも2度吹きしないようにご注意遊ばせ。

今回使用した工具

・マスキングテープ
・アートナイフ
・新聞紙(マスキング、フレームの仮置き場所)
・プラサフ
・ラッカースプレー(タミヤ製ホビー用)別にどこのメーカーでも良いと思われ。
・ウレタンクリアー

あると作業がはかどる、保護メガネと防毒マスク。

いよいよ完成へ

完成した姿はこちらの記事に!

フレームへのブレーキアウタートンネルの溶接、そしてフレーム・フォークの再塗装を経て生まれ変わった愛車、新生Surly Steamroller。折しも元号が平成から令和へと変わるなか行われた、令和元年の大改修結果をご紹介。

当ブログの自転車関連記事まとめページはこちらから!

当ブログ「無辺光」の自転車記事まとめページです。 主に Surly Steamrollerとシングルスピードの紹介記事シングル...