自転車DIY:クロモリフレームに自分で小物を銀ロウ付けしてみる

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ブレーキケーブルアウタートンネルのセルフロウ付け

「やるぞ、やるぞ」とずっと言ってきた、ケーブルアウタートンネルの銀ろう付け。ついに作業ができたのでその顛末をご報告したい。

前夜編は下記記事をご覧あれ。

クロモリ製のシングルスピードバイクに、ケーブルアウタートンネルを銀ロウ付けする。本記事はその前夜編として同時に実施予定のリペイントの配色などについてのお話。

塗装を剥離

連休中の昼下がり、作業が開始された。こんなことやらなくても十分乗れるフレームに余計なことをした上、失敗すればフレームが台無しになるという、ハイリスクな戦い、得られるのは自己満足、ついに火蓋は切って落とされた。

まずは溶接箇所の塗装を剥がす。100円ショップで購入した耐水ペーパー(耐水性のある紙やすり)でゴシゴシ落とす。番手は100番台でかなり荒いものを使用する。耐水ペーパーはその名の通り、耐水性がある。使うときには水を少しつけて削るようにすると、目詰まりしにくく、削れた粉が飛びづらいので、ぜひ水をつけながら作業しよう。これを水研ぎと言う。

ゴリゴリと削っていくとこのように、鉄パイプの表面が見えてきた。自転車の塗装を剥がすのははじめての経験だが、思ったよりも強固な塗装で手作業で剥がすのには難儀した。Surlyの焼き付け塗装も大したものだ。なお水研ぎした後は、削りかすが粘土状に品物にへばりついているので、水などでよく洗い流そう。

小物を固定

ロウ付けするときは、アウタートンネルをフレームに固定しておかなくてはならない。どこかの本で見た方法だが、仮固定としてステンレス線、線形φ1mmでフレームに縛り付けた。これも100円ショップで購入したものである。

なおアウタートンネルの方も、フレームと接触する面については、素材の表面を確実に出すために耐水ペーパーでやすってから固定した。

フラックス塗布

ロウ付けする際には、金属の生の表面同士をロウで繋ぐ必要がある。しかし鉄の場合はロウ付け時の炎の熱で表面が酸化してしまい酸化膜ができてしまう。これがろう付けの邪魔となる。フラックスはこの酸化膜の生成を防ぐ薬品である。銀ロウにセットで付属してきたものを使用した。

が、どのくらいつけたものか、加減がよくわからない。こんなもんじゃろうか。。。

初めてのロウ付け!そして失敗

いよいよロウ付けである。銀ロウは新富士バーナー製のRZ–110 一般用銀ロウを選んだ。

トーチも同じく新富士バーナー製。

ロウ付け作業については、手が足りないので写真は残っていない。

まずトーチに点火!ゴーッと言う炎の音に結構迫力を感じてビビる。半田ごてとはわけが違う。炎が直接吹き出ているわけで、危険度は段違いだ。半田ごてならうっかり触ってもちょいと「アチっ」程度で済むわけだが、こちらでは相当の火傷を負いそうだ。さらに取り扱いを間違えば、火災の危険性も高い。

初期消火用にバケツに水をはってから作業再開。

で加熱していくのだが、屋外で日光の下だと炎が目視で確認しづらい。どんな色の炎がどの程度の大きさで出ているかいまいち見えないのだ。炎も見えないし、素人だから対象物との距離もよくわからない。こんなもんかな、と言う感じでフレームに炎を近づける。

炎は思ったよりも大きく、周囲の塗装はみるみる泡立つようにして溶けて燃えていく。熱容量の小さい部材からどんどん温度が上昇していく。一番最初は固定に使用していたステンレス線。これが真っ赤に赤熱していく。続いてアウタートンネルも真っ赤になっていく。フレームはどの程度熱くなっているのか全然わからない。

フラックスは成分が水に分散させているため、炎が当たるとあっという間に水分がぶくぶくと蒸発していく。いったん白く溶けていた成分が析出し、そこからもまた溶けて液状になっていく。

事前にネットで仕入れていた情報によれば、このタイミングでロウをさせば流れるらしい。すかさずロウを当てようとする。がしかし、ちょっとビビってしまって狙いが定まらない。。。苦戦しながらなんとか加熱場所に当てるが予想とは異なり全然流れない。

熱が足りないのか、とロウを当てたままうっかり炎を近づけると一瞬でロウは溶け落ちてしまう。おまけにその後の銀ロウ線の先端が変な向きに曲がってしまって、その後の作業がすこぶるやりづらい。事前の情報から、「ロウを直接炙ってはいけない」とは聞いていたが、ついついやってしまった。そしてやっぱりロウを炙ってもロウが無駄になるだけだと身をもって知る。

全然思った通りにはいかず、ややテンションが下がり始めるも乗りかかった船、ここまでフレームを傷つけておいて引くわけにも行かぬ。悪戦苦闘しているうちに溶け落ちたロウが部品の近くにとどまっている状態ができた。

部品は黒焦げ、フレームも黒焦げの悲惨な姿である。しかもアウタートンネルの中にロウがくっついていて、これではケーブルが通らないではないか。

しかし、まずは部材がしっかりフレームについたかどうかが重要だ。トンネルのなかのロウは後からでもなんとでもなる、はず。なにぶん素人なので、何が正解なのかもいまいちよくわからないのだ。とりあえず一旦次の工程に行ってみることに。

ロウ付けした後、フラックスは速やかにお湯の中で真鍮ブラシを使い落とすこと。フラックスが残ると、サビの原因になるそうだ。

で真鍮ブラシとお湯で洗ってみると、真っ黒だったのはスス汚れなのか、洗浄によりきれいになり素地の金属光沢が見えてきた。万歳。

で仮止めのワイヤーも外してみる。それでも部品はフレームについたまま。見た目はショッキングだが、さてはこれでロウ付けできたのかな?

この先どんどん進めたいところだが、この日は歯医者に行く予定が控えており、タイムアップ。仕方がない。

しかし手で力を加えるとあっさりととれてしまった。無念である。

しかし、私はこの時、江戸時代、幕末期に日本初の国産蒸気機関の開発を行った、伊予の提灯はり職人、嘉藏のことを思い出していた。思えば、嘉藏が始めて蒸気機関を試作した時、その時も失敗したのであった。そしてそのとき、嘉藏に蒸気機関の開発を命じた伊予宇和島藩の藩主、伊達宗城はその報を受けてこう言ったという。

その殿である伊達宗城は失敗の報告をきいても、さすが明君といわれている人物だけに顔色も変えず、
「当然だろう、初手から成功する筈がない」
といった。
司馬遼太郎「伊達の黒船」

幕末期の日本、ペリー来航後わずか7年で国産の蒸気船を宇和島藩では完成させた。その中核を担ったのは、手先が器用なだけが取り柄の、貧乏提灯張り職人、嘉蔵であった。技術の壁と身分の壁に苦戦しながらも、奮闘する姿を描いた司馬遼太郎の短編である。

そうだ、こちらは素人。初手から成功するはずもない。当たり前のことである。

嘉藏の苦労を思えば、銀ろう付けなど屁でも無いのである。立ち上がり、気を取り直して再度表面を仕上げ直すのだ。余分なロウを棒ヤスリで取り除く。ある程度ロウが削れたら紙やすりで少し仕上げる。改めてロウを削ってみるとクロモリパイプに比べて柔らかい材料であることがよくわかる。クロモリ鋼は硬いのだ。

よくスチールバイクはアルミやカーボンフレームに比べて剛性が低い。だからレース機材としては撓みが出てしまい力をロスしてしまう。一方、しなやかで振動吸収性が良いので、ツーリングやロングライドに向いている、といった解説がなされる。それは自転車として仕立てた際には、たしかにそう言える。

しかし材料としての特性で言えば、鉄は決して柔らかい材料ではなく、弾性率で言ってもアルミのおよそ2倍はある材料である。問題は重量に対する強度のバランスであって、これがアルミやカーボンに比べて不利なのである。強度はアルミよりも遥かに高いが、重量はアルミの約3倍。ここから重量を抑えながらフレームを作ろうとした際に、アルミフレームと鉄フレームの剛性は逆転するのであった。

閑話休題。

ここで仕上げをこだわってピカピカにする必要もない。ある程度のところで作業終了。さて再度チャレンジだ。

ロウ付け(再度)

翌日、再チャレンジ。やはり、ロウが溶けるタイミングが全然つかめない。。。というか全然溶けない。加熱が足りないのか、フラックスが足りないのかよくわからない。とりあえずフラックスは惜しみなく使った方が良さそうである。

(※19/6/29追記 おそらくフラックスはぜんぜん足りない。他の事例を見るとハケで塗りたくったりしているので、もっと潤沢に使わないとダメらしい。)

どうしても今回のろう付けは、フレームと、ケーブルアウタートンネルとの間で熱容量の差が大きく、温度の上がりやすさにだいぶ差がある。初手で行うには難しいのかもしれない。もっと簡単な部品で練習が必要だと痛感。

しかし、どうも1度目に落としきれなかったロウが所謂「置きロウ」として働いたようで、何とかくっついた。

なんか全然端っこの方しかロウが無いようにも見えるんだけど、これでも素手では全然取れないぐらいしっかりついているので、合格!にした。

真鍮ブラシで洗浄した後
耐水ペーパーで周りのススや痛んだ塗装を除去した後

リア側も同じ要領でやっていく。

(※19/6/29追記 これもフラックスがぜんぜん足りないと思われる。)

リア側もかろうじて端っこの方にロウがまわり、なんとかかんとか取れないぐらいには接合できた模様。

この後、熱で痛んだ塗装を耐水ペーパーでゴリゴリ削り落としていく。意外とこれが難儀。ブツブツと泡立ってしまった塗装は結構固く、何度も水研ぎしながら根気よくやっていく。時間がかかる作業だ。

なお、一連の作業は道路に面した自分の敷地内で行っていた。周りは住宅が密集している地域なので通行人もいる。途中で近所を散歩していた、おばあちゃんから「何を治しているの?」なんて声をかけられて会話したりしながら、何とか合格ラインまで仕上げた。なおここでは、番手を100番代から開始し、300番代まで仕上げた。やはりこの後塗装なので少しだけ良い仕上げに。

ついでに昔刷毛塗りした、リア三角の黒ペンキや残っていたデカール、カッティングシートも除去。

最後は中性洗剤で、ヤスリの削りかすや、油分をしっかり洗い流す。この後の塗装では、そのあたりがトラブルの要因になるからだ。

よっし、まずは第一関門をクリア、である。この勝利は大きいぞ。

今回使った工具

・ガストーチ
・銀ロウ
・フラックス
・耐水ペーパー
・バケツ
・ポット
・真鍮ブラシ
・中性洗剤とスポンジ
・ペンチ

こんなもんかな。

ほかのブログやサイトなどでもDIYの銀ろう付けでは、新富士バーナーの製品がよく出てくる気がする。

続きの塗装編はこちらから!

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