世界の見え方を変え、視野を広げてくれたオススメ本11選

良い本との出会いは、人生を変えてくれます。様々な知識や強烈な感情を読者に与えることで、物の見方、世界の見え方が一変させ、視野を広げてくれる、あるいは全く新しい視点の存在を教えてくれるのです。思い出話も含まれますが、私の読書体験を振り返って、おすすめ本を紹介します。

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本を読む本

「本を読む本」はその名の通り、本の読み方について書かれた本です。

子供の頃から読書は好きでしたが、体系的な読書の仕方を教えてくれたのはこの本でした。それまでは漫然と最初のページから順に読んでいく読み方しか知りませんでしたが、この本に出会い、本を読むと言うことにどれ程の奥深い世界があるのかを知らされました。その後の他の本を読むにあたっても、読書体験の質を各段に向上させてくれた、そんな本です。

当ブログの解説記事は↓です。

「本を読む本」は、「読むに値する良書を知的かつ積極的に読むための規則」について述べた本である。 キーワードは「積極的読書」。良く整理・体系化された名著であり、読書家を自認するならぜひ読んでおくべき一冊。
「本を読む本」は読書論の古典ともいえる名著だ。その中で紹介されている読書法、点検読書とは、いわば「系統立てた拾い読み」のようなもので、一冊の本がどのような本であるか、短時間で効率よく性格に把握するための読書法だ。

知った気でいるあなたのための構造主義方法論入門

私が大学の工学部に通っていた20歳ぐらいの頃、ある日突然、下宿に荷物が届きました。荷物の中身は2冊の本と、短い手紙。差出人は10歳年が離れた兄でした。

「あなたも技術者の道を選ぶなら、こういう本を読んでおくと良い」と書かれた手紙と一緒に送られてきたのは、先ほど紹介した「本を読む本」と、この「知った気でいるあなたのための構造主義方法論入門」でした。普段はほとんど交流もない兄でしたが、その配慮に感謝した覚えがあります。

そんなわけで、まず「本を読む本」を読み、読書について考えを改めた私は、すぐにこの「構造主義方法論入門」を読み進めました。構造主義方法論は近現代の思想です。それまで聞いたこともない「構造主義」に関する本で内容にはかなり面食らいました。

今でも構造主義について深い理解ができた訳ではないですが、それまで大学で先生の教えることを「絶対的な真実」であり、世界ができた時から当たり前のように分かっていた、それが当然のことであるかの如く、疑いもせず考えもせず受け入れて自分にとっては、この新たな学問の世界はとても新鮮でした。

物事の表面上のことだけでなく、その中の本質的な構造について洞察するということ、そしてその結果得られる相対的な物の見方を与えてくれたことは、本当に価値あることだと思っています。この本に書いてある「科学の目的は、現象の予測と制御」と言う部分はこの先も忘れることは無いでしょう。

今また読んだら、当時よりは理解できるようになっているだろうか。また読み返したい本です。

当ブログの構造主義関連本、解説記事は↓です。

本書は、構造主義の中心人物の1人、「レヴィ・ストロース」の仕事にフォーカスを絞って解説した入門書である。レヴィ・ストロースの示した、親族関係の理論や神話分析の手法の説明を分かりやすく行う他、構造主義のバックボーンとなった数学理論について紹介する。
哲学研究者の内田樹による、構造主義の初学者向け解説書。「寝ながら学べる」の枕ことばに偽りなく、気楽に読める一冊だ。思想を理解するには、歴史的経緯の理解が不可欠だが、構造主義前史の解説としてそこを丁寧にフォローしているのが好印象。
実存主義と構造主義は、コインの裏表である。筆者は本書の中で、古今の文学作品を交えながら、近代思想に大きな影響を与えた、構造主義、実存主義を、現代に生きる我々はどのように活用できるのか、を示している。

七つの習慣

言わずと知れた自己啓発本の王、「七つの習慣」。自己啓発としては必要なことはだいたいこの本に書いてある。個人的に印象深いのは、地下鉄の中で暴れる子供達とその父親と会話するシーン。まさに世界の見方が変わる、そんな体験について書かれている。以下の記事にまとめているので、併せてご覧ください。

巻第一 学而第一 16 子ののたまわく、人の己を知らざることを患えず、人を知らざることを患う。先生が言われた、「人が自分を知ってくれ...

エミール

仕事の社内政治において、翻弄され疲弊していたとき読んだ本。自分の判断基準を持ち、周囲に流されずに判断して生きていく大切を知りました。とても感動した記憶があります。

特に中盤にある「サヴォワ人神父の信仰告白」には自分自身で自分の価値観を築き上げる、そのプロセスが示されており、当時の私にとって、特に衝撃的と言っても良い内容でした。大事なことは、「信仰告白」の内容自体に同意するかどうかではありません。自分の頭で考えて何某かの「信仰」なり「信念」の根本を見つけ出し、そこから自分の生き方を決定していく、というその姿勢そのものに学ぶべき価値があるのです。

社会の渦のなかに巻きこまれていても、情念によっても人々の意見によってもひきずりまわされることがなければ、それでいい。自分の目でものを見、自分の心でものを感じればいい。自分の理性の権威のほかにはどんな権威にも支配されなければいいのだ。

ルソー「エミール」より
私を支えてくれた、ルソーと「エミール」 ルソーは大好きな思想家です。と言っても読んだことがあるのは「孤独な散歩者の夢...

荘子

中国の思想は人格を持った「神」ではなく、自然の運行や「天」といった非人格的な全体的存在を想定しており、私としては受け入れやすいですね。そんな中国の古典には素晴らしいものがたくさんあります。孔子の「論語」、孫氏の「兵法」、そして「老子」など。ですが私が一番好きなのは荘子です。

現実と夢、いったいどちらが正しいと決めることができるのかと言う「胡蝶の夢」が有名な荘子ですが、その他にも示唆に富む内容がとても多いです。我々はとかくある種の価値観を絶対的なものと見なしがちですが、荘子はとにかく相対主義の思想が徹底して説いており、我々の凝り固まった考えを解きほぐしてくれます。

例えば、以下のエピソードは当ブログでも再三引用しているお気に入り。

斉物論編 第二 (前略)毛ショウや麗姫(りき)は、人はだれもが美人と考えるが、魚はそれを見ると水底深くもぐりこみ、鳥はそれを見ると空高く飛び上り、鹿はそれを見ると跳びあがって逃げ出す。この四類の中でどれが本当の美を知っていることになるのか。(荘子 岩波文庫 金谷治 訳) 

毛ショウや麗姫は当時の中国において、美人の典型とされた人物です。そのような美人の「美」も、人間以外の動物から見れば全く価値の無いことです。荘子にかかれば人間という視点を離れるだけでなく、生物と無生物の区別すらも越えた思索の世界までを見せてくれます。その世界では生と死の区別も相対的なものとなるのです。

利己的な遺伝子

生物の進化について一般向けに書かれた解説書です。生物の進化の過程のうち、主役は遺伝子であり、生物は遺伝子のキャリアに過ぎないという遺伝子主体の考えを説いています。まず、第1章の生物の発祥に関してから知的な刺激に溢れており、全編夢中で読んだことを覚えています。

また、遺伝子の特徴は「自己複製と、複製時に発生するエラーに伴う変異」ですが、その2つの特徴を文化や思想にも見出し、拡張した「ミーム論」は本書が初出です。文化や思想、概念もまた人々のコミュニケーションにより複製を繰り返しながら、変異が起きており、その中で環境に対してより適応的なものが生き残るという淘汰プロセスを繰り返している、それは生物の進化の歴史と本質的に同じ構造を内包しているのだ、という指摘はいまなお色あせない鋭さです。

無知の技法

人は知らないこと、無知であることを、何か恥ずかしいこと、劣ったこと、良くないことであるように考えがちです。しかし、本書を読めば「知らない」ということは悪い事ではなく、新しい発見の可能性を秘めた状態であることに気づかされます。

時代の変化が激しく、先行きが読めない時代、誰もが正解を見いだせない状況の中で我々は生きていかなければなりません。そんな時代で生き残るためには、「無知」としっかり向き合い、その可能性を活かしてチャレンジをしなければなりません。本書は無知と向き合う姿勢を説いた素晴らしいガイドブックなのです。

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無知の技法は「無知」を受け入れ、無知であるが故に開くことができる可能性に着目する。誰も正解を知らない、正解が存在するかも分からない世界において生きるために、「知らない」と言うことと向き合う姿勢が必要不可欠と教えてくれる。

よわいかみ つよいかたち

自分自身の世界の見方を変えた、という意味ではもっとも根源的な一冊かもしれません。かこさとし氏の「よわいかみ、つよいかたち」は材料力学についてとてもわかりやすく、実験的に解説している絵本。一枚の葉書で橋を作る時に、どのように折り曲げるか、どのような方向から力をかけるか、によって載せることの出来る10円玉の数が全く違う、ということを描いています。

これを読んだのはまだ保育園に通っていた頃ですが、物事の特徴を実験により試して、定量的に評価して表す、という工学的な手法をこの絵本から学びました。また、同じ素材でも形を工夫することで強度を何倍にも高めることができる、ということもとっても印象的でした。

その後大学では工学を専攻し、エンジニアとして今は働いていますが、その進路を決めた原体験の一つにこの絵本があると思います。大人が読んでも面白いですが、お子様の教育用にもうってつけの一冊です。

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幼い頃に読んだある絵本の記憶。記憶を辿るとかこさとし氏の「よわいかみ つよいかたち」に行き当たった。一枚の紙が、折り方によって断面形状を変えることで強度を高めることができる、というその内容。保育園の時に覚えた感動は今読んでも色あせない。

法句経講義

この本は、仏教の経典のうちでも最初期に編纂され、もっともブッダのオリジナルの思想に近いとされる「法句経」について解説したものです。

宗教というと、「困ったときの神頼み」という言葉のように、「人智を超えた絶対的存在に救済してもらう」という印象を持っていた私ですが、この本を読んで、仏教は全く違うんだ(少なくともお釈迦様が悟りを開いた当時の思想は)ということを知り衝撃を受けた一冊です。

とくに印象的なのは、「自己を措きて誰に寄辺ぞ」という一節。人生において頼りになるのは、心をよく鍛えた自分だけしかいない、だから普段からよく修養して励めよと、ブッダは説いています。とてもストイックで魅力的な思想であることがわかっていただけるのではないでしょうか。

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今から80年以上前にラジオ放送された、仏教最古の経典「法句経」の講義を書籍化した一冊。哲学的な仏教の魅力と厳しさを優しい語り口で、友松圓諦先生が教えてくれる。本記事ではその中の一編「自己を措きて誰に寄辺ぞ」について紹介する。

戦闘妖精雪風 シリーズ

小説関連で言えば、神林長平のSF小説、戦闘妖精・雪風シリーズは外せません。異性体ジャムと人間、そして機械知能たちの果てなき戦争を通して、人やその知性の本質、機械との違いなどを深く考察しています。長らく未完のままになっていましたが、2019年12月から続編がSFマガジンに新規連載とのことで、非常に楽しみです。

ソフトウェア・ファースト

最後は2019年10月に発売されたばかりの新刊、「ソフトウェア・ファースト」。これは現在進行形で私の人生を変えている、かもしれない一冊です。

記事に感想をまとめていますので、ぜひ読んでみてください。

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